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映画「散歩する侵略者」感想とネタバレ考察

久々の更新…。

あらすじは別のところで。

sanpo-movie.jp


ジャンルはSFか、コメディか、サスペンスか、ラブストーリーか。全部入りといってもおかしくない。見終わった後の考察が進む映画であり、ネタバレ無しに語ることはなかなか難しかった。
ただホラーという部類では無いだろう。エンタメだ。かなり怖いのであろうと思っていた宇宙人は「純粋」な「ゆるふわ」感が漂っていて愛らしいキャラクターだった。受けたつ地球人もかなり人間らしい。「責任感」と「好奇心」で満ち溢れている。
面白い設定だと思ったのは「ガイド」という存在だろうか。ガイドは、地球人のことを教えてくれる人ということになる。しかしそのガイドも別に地球が侵略されたいわけでもなく、頼まれたら断れないNOと言えない日本人を感じさせていた。…うーんどうしてもネタバレ。一度畳んでネタバレ感想

 

 

この映画はいろんな比喩がある映画だと思う。作品冒頭に出てくる「米軍は出て行け」という看板。これは米軍がある地方には普通に立っているような看板だというセットだと思っていたが、見終わった後に感じるのは「侵略者」はある種米軍だとも言えるのだろうということだ。侵略者はどこからどう見ても地球人には悪影響だが、本当にそう言えるのか?概念を奪われた人は幸せそうではなかったか?侵略されたあとの世界は、なにかに気付いたのではなかったか?一筋縄ではいかない世界の仕組みに、どの立場からでもなく切り込む。そういう意味で政治叩きの棒にもされず米軍問題に突っ込んでいて、傍観者のような視点で作られている話だろう。

ただ侵略者を「米軍」だけでくくってはならない。人間では無いのだから。
概念を持たない二人の侵略者は、人間の概念を奪い「概念」という「知識」を蓄えていく。冒頭あまりにも鮮烈に登場して、強烈な作品全体をまとう不気味な雰囲気と、演じる恒松祐里さんの身体能力の高さを印象づける『立花あきら』に関しては本当に集めてるだけだった。彼女は少し不器用で(通信機作ってるのに?)人を結構殺めてしまうが(!?)所謂「仕事」を全うしていただけで、特に生にも執着していないようだった。その「仕事」もなすべきことをするだけ、といった感じだろうか。可愛い声でJK言葉なのが面白いけど、その凶暴度はどこからもらったのだろう。金魚だろうか。

対して『天野くん』はかなり器用で、知的指数も高そう。これは概念を奪いまくった結果か、それとも侵略者個人の性格か、元天野くんが頭が良かったのか。
人間感が無いあきらに比べて、かなり人間らしく思えるのは『ガイド』が居るからだろうか。あきらに専任ガイドが居なかったため、天野くんのガイドにくっついていた感じだ。
天野くんのラスト。これはどこだったんだろう?と劇場を出て最初に疑問に思ったところだ。天野くんはガイドに乗り移ることを一度拒否した。何故だったのか。そして、そのあと乗り移ったっぽいけれど、天野くんあんな愉快な子だったか?半分くらい桜井がそこにいたのではないだろうか…。どちらにせよ、彼もガイドに影響を受けたと見て良いだろう。3時間が三日になるぐらいには。
高杉真宙さんの美少年感…悪魔みたい。

そして松田龍平が演じる『真治』。漢字があってるか確かめてないので「しんちゃん」と書いておく。
しんちゃんは、全然概念を奪わなかったので生まれたての赤ん坊のようである。元の性格が反映されるとしたら、元しんちゃんは結構怒りっぽい鳴海と比べ、性格自体は落ち着いた人だったのかもしれない。あきらや天野と比べて、あまりにも落ち着いている。もしかしたら移った先が「大人」か「子ども」でも違うのかもしれない。
しんちゃんに関しては「完全に地球人に影響を受けてしまった侵略者」。侵略者側から見れば謀反人?そうではなくて「地球人を知ったら、侵略することはよくないと感じた」と報告しただけの話かもしれない。
どうやってそれを伝えたのだろうか。なんでもありなので、どうにかして伝えたのだろうけれど、もし伝わって無かったらしんちゃん諸共バッドエンドの話になって居ただろう。(舞台はどうなんだろう…)。
とにかくこの「散歩する松田龍平」がハマっていて、現実世界に完全な嘘を作り出す演技をしている。

それを受け止めるのが超現実の『鳴海』演じた長澤まさみで、ザ・一般人。
元しんちゃん(浮気者)の嫁だが「しんちゃんを返してよぉ!」とも言わない。しんちゃん本人への愛はマジで消えかかっていたらしい。
だからこそ、二人の関係の再構築が泣ける。しんちゃんを作り直しても、そこには虚像しかない。だけどまたニューしんちゃんを愛してしまったのに、もう地球は終わるらしい。そんな現実受け入れられない。その気持ちが結果地球を救ったし、二人で一緒に生きられることになった。望んだことは叶ったが、鳴海は本当に幸せなのだろうか。しんちゃんは、後悔の概念は奪ってないから、ただずっと鳴海を愛し続けるのだろうな。うん、幸せなのかも?

しんちゃんと鳴海の愛の逃避行。夕陽に浮かんでする会話があまりにもロマンチックで、ベッドシーン(語弊)はとても綺麗だった。そこで、ああこれはラブストーリーだったんだなと気付く。そしてポスターの場面がどんな場面なのかを知る。

そういえば果たして侵略者に性別ってあるんだろうか。
とすると、長谷川さん博己演じる『桜井』と天野のロードムービーも、ちょっとしたBLに感じてくる。といいつつ桜井は天野に自分の子供を見た感じなので、これは役者二人から出たものなのだろう。
桜井は面白いキャラクターだった。矢口蘭堂(@シンゴジラ)から地位と権力とプライドを奪ったような…ラストに演説をするというのも同じ。ただ、こっちの桜井の演説は自己満足。この辺の台詞が面白くて笑った。自己満足かよっ。
「好奇心」の桜井。宇宙人に宇宙人らしさを求めるのが素で狂ってる。
どんどん天野に惹かれる桜井は、あきらの消失のときはとくにどうってことなさそうだったが(もう「まとも」という概念を失っているように見えた)完全な他人の天野を救おうとした。結果、さっきも書いたようなことになるのだが…。突如長谷川さんの身体能力が発揮されて、お尻と脚に釘づけになってしまった。思い出そうとするとそこばかり。CGではなく実写で迫力のシーンなので、そっちも見たいのだが、思い出そうとすると尻と脚が…。もう一度見ましょう。
もし侵略者に性別が無いとすると、しんちゃんと鳴海も百合だよなぁと感じる。
鳴海はヒーローであり、しんちゃんがヒロインである。

脇役も面白かった。もう一人しっかり言及しておかないといけないのは東出昌大さんが演じた「牧師」だろう。
WOWOWドラマ版にも東出さんが出てくる…ということだけ知っていた。
最初に見たときは「牧師は概念を奪われたのだろう」と思っていた。だからしんちゃんは「愛」の概念を奪うことができなかったのだろう…と。しかし、愛を奪ったしんちゃんがああなることを考えると、あきら・天野は「愛」は奪えていない。ここで浮かぶのが「もう一人の侵略者」の存在だ。
もう一人侵略者が居るとすれば、病院で巻き起こっていたパニックにも説明がつく。別に侵略者は三人だけでなくても良いだろう。
と考えていたところで、ドラマ記事を読むと、東出さんが侵略者だったらしい。しかも外科医。なるほどな!お前がやったんだな、あの病院付近を。
でもしんちゃんは牧師を侵略者だと気づいていなかった。見知らぬ者同士だったのだろうか。
しんちゃん・天野・あきらが宇宙に情報を伝えるための役割を担っているのだとしたら、別の役割をする侵略者が居ても不思議ではない。ドラマを見ろということでしょうね。

色々つっこみたい脇役もいるんだけど、概念を語りだすとキリが無い気もするのでここまでで。
本当に面白かった。こうやって考察ができることが何よりもの証拠。
演出や照明がかなり変な映画だな~不思議な映画だな~と思って見ていたらだんだん「何が起こるのだろう」と楽しくなっていた。役者がどれもこれもハマっていて、どれもこれも楽しく壊れていくのが可笑しすぎる。苦痛は強いらないという、侵略者の情けなのだろうか。
ラストシーンのCGにはいろいろ賛否がありそうだが(笑)あれは『大きな嘘』ということを鑑賞者に提示するようなものだったのではないか。しんちゃんという存在は嘘で、ファンタジーだ。愛があれば地球を救えるなんて、奇跡に近い。だからこそ奇跡のフィクションとして成立するのだと。


もう何度か見たい。見て、いろいろ考察したいと思う。母なる海で「鳴海」とか真実を治めるで「真治」(調べた)なのかとか。だからみんな一緒に見ようよ!

みんな友達だよね!(名台詞)